近所におしゃれな雰囲気の居酒屋があって、一見そんな風でもないけど実は手が込んいるという感じの料理がどれも美味しくて、同じ町に住む友人に教わって以来、たまに行く。
そこで美味しいおつまみとともによく飲むのが「カルダモン焼酎ハイボール」である。カレーに使われるスパイス「カルダモン」風味のチューハイで、爽やかな香りがいい。特徴的な香りだが、意外にどんな料理にも合う。
注文すると、お店の方が琥珀色の液体が入った瓶を棚から手に取って、それを炭酸水で割っているようである。「あの瓶はなんなのか」と思って見てみると「CARDAMON TAKE7」というラベルが見えて、「あ、あれ前にも見たことがある」と思った。他の店でやはりカルダモンチューハイ的なものを飲んだ時にもその瓶を見た。あと、飲み仲間の泡☆盛子さんが「これ美味しいですよ」とリンクを送ってくれて、そのリンク先がまさにその焼酎の商品紹介ページで、その時は通販で買おうかどうか少し迷ったままにしてしまったのだが、とにかくそうやって何度か目にしていたのであった。
で、先日、夜中にふと思い立って買ってみることにした。「カルダモンTAKE7」で検索すると、通販しているサイトがたくさん出てくる。「カルダモンTAKE7」は熊本県の豊永酒造で作っているもので、カレー店から「カレーのスパイスを使ってカレーに合う焼酎を作って欲しい」というようなリクエストがあって、それで生まれたものらしい。公式サイトにこんな記載がある。
カルダモンを焼酎に加えただけではうまく香りと味が抽出できなかったため、7回の試作を重ねてようやく完成しました。ベースの米焼酎も特別に専用の焼酎を造りました。完成の前夜にタンクの横に白く輝く蛇が現れたことがこの名の由来です。
なるほど「TAKE7」というのはそういう由来の名前だったのか。そして、ラベルをもっとよく見ると、「CARDAMON TAKE7 WHITE SNAKE」というのが正式な商品名のようで、「WHITE SNAKE」というのがその白い蛇に由来しているのだな。
こうも書かれている。
カレーはもちろん、スパイスが効いたエスニック料理にぴったりです。また七味や山椒の効いた焼き鳥などのお肉料理にも合います。焼き鳥を出す居酒屋さんでも大変好評です。タレの効いたウナギのかば焼きと合わせてもおいしいです。ぜひお試しください。
と、カレーとも合うしうなぎとも合うというのだから頼もしい。
数日後、「カルダモンTAKE7」の瓶が届いたので、まずは炭酸で割って飲んでみた。750ml入りで、アルコール度数は25度。そこに氷と炭酸水を入れてかき混ぜただけですごく美味しい。お店で飲んで感動したあの味だ。
なんせ炭酸で割るだけでいきなり美味しいので「これはいい買い物した!」と思って少しずつ飲んでいたのだが、ネットで検索してみたら、ただ炭酸水で割るだけなく、もっと色々と美味しい飲み方があるみたいだ。
それで知ったのが、たとえば「カルダモンTAKE7のアールグレイ割り」。「カルダモンTAKE7」をコンビニで買ったペットボトル入りのアールグレイで割っただけで、これもすごく美味しい。ただ炭酸水で割っていたのとは全然違う味に感じられる。かといってアールグレイが主張し過ぎるということもなく、二つの風味がうまく融合して別の何かになっているような。紅茶とカルダモンの風味の相性がこんなにいいなんて知らなかった。
その勢いでさらに数日後に、「午後の紅茶」のストレートティーで「カルダモンTAKE7」を割って飲んでみたのだが、これも最高。アールグレイと同様、ただのカルダモン焼酎とも、午後ティーとも違う、別の美味しい何かに昇華される感がある。コーヒーで割っても美味しいようだ。
「カルダモンTAKE7の可能性、まだまだありそうだな」と思って、最近の飲み会で、酒に詳しそうな方に「あれ美味しいですね、TAKE7っていうカルダモンの」と言ってみたら「ああ!あれいいですよね。私は常に一升瓶でストックしていますよ」という返事があって驚いた。一升瓶もあるのか!今度買うならそっちだな。
(X/tumblr)
1979年生まれ水瓶座・A型。酒と徘徊が趣味の東京生まれ大阪在住のフリーライター。WEBサイト「デイリーポータルZ」「集英社新書プラス」「メシ通」などで執筆中。テクノラップバンド「チミドロ」のリーダーで、ことさら出版からはbutajiとのユニット「遠い街」のCDをリリース。大阪・西九条のミニコミ書店「シカク」の広報担当も務める。著書に『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』、『遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ』(共にスタンド・ブックス)、『「それから」の大阪』(集英社)、『酒ともやしと横になる私』(シカク出版)『思い出せない思い出たちが僕らを家族にしてくれる』(新潮社)。パリッコとの共著に『酒の穴』『酒の穴エクストラプレーン』(シカク出版)、『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』(ele-king books)、『“よむ”お酒』(イースト・プレス)、『ご自由にお持ちくださいを見つけるまで家に帰れない一日』(スタンド・ブックス)。
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