ラップが似合う場面って果たしてどんなシチュエーションなのかを最近よく考えるのよね。
最近でも某人気漫画のアニメの主題歌をCreepy Nutsが担当したり、某チューハイのCMが「水星」と「今夜はブギー・バック」のマッシュアップだったり、まさかのACジャパンのCMで呂布カルマが老人とラップを披露してたり…。
もはやラップが日常的になったとも言えるんだけど、これって要するに担当者がラップ好きなんでしょ、とも言えるわけで、本来はラップじゃなくても成立する場面だと思うのよね。
そんな中でつい最近衝撃かつ話題をかっさらったのが、10月に開催されたキングオブコント2022。OP曲をあの梅田サイファーが担当したわけよ。
お笑いブームの中、M-1に次ぐ国民的お笑い大会であるキングオブコントのOPをなんと、ラッパーが!
出場メンバーになぞらえて梅田サイファーのMC10人がマイクリレーしていく曲で、最後のフックはおなじみR-指定なわけなんだけどこの曲が大好評だったのよね。しかもびっくりなのが、大体こういうメジャーなTV番組で流れるようなラップって我々日本語ラップヘッズからしたら大抵なんか…恥ずかしくなるわけよ。何故だかしゅんとなっちゃうのよね。
でもこの梅田サイファーの曲は…全然恥ずかしくないのよ!シンプルに言うならダサくないわけ。
あと思ったのが、曲がいいのは勿論なんだけど…この大会が始まる瞬間の「盛り上げてくぞ!」っていうシチュエーションにラップと言う表現方法が非常に合ってる気がするのよ!そもそも!
北京オリンピック金メダルの平野歩夢が決勝前にTHA BLUE HERBを聞いていたのも日本語ラップ界では有名な話のように、最近の若いアスリートとかが試合前に日本のヒップホップを聞いてるパターン非常によく聞くわ。セルフをボーストするというヒップホップの性質がこのシチュエーションに非常に合ってると思うわけよ。
ついでに言うと確かお笑い芸人ナイツの塙が言ってた話で、M-1ってあの誰でも知ってる派手なテーマ曲と同時に「はいどうも~!」って舞台に飛び出していく仕組みになってるからすごく「勢い」がつくと。でもコントって板付きとかで必ず静かに始まるからどうしても「勢い」に欠けてしまうっていう話をしてて。
その点でもキングオブコントのOPに梅田サイファーの曲はピッタリってわけなのよ!
これは…来年もやるわねきっと…(勝手な予想)
(X/PIXIV FANBOX)
1982年、岡山県出身。2004年、『未来は俺等の手の中〜J.P. STYLE GRAFFITI〜』で、第67回手塚賞準入選。著書に『魔法の料理 かおすキッチン』全3巻、『ダークアクト』全1巻、『今日のテラフォーマーズはお休みです。』全6巻(全て集英社)。現在は「COMIC OGYAAA!!(コミックオギャー)」で『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』を連載中、単行本はseason10まで刊行中(ホーム社)。2017年に6代目作画担当に就任した「日ペンの美子ちゃん」の公式Twitterに掲載された漫画の単行本『6代目 日ペンの美子ちゃん』(一迅社)も発売中。
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