美ー子ちゃんの今週の一枚
水曜日のカンパネラ『ネオン』

第43回 水曜日のカンパネラ『ネオン』

水曜日のカンパネラ『ネオン』出たわよ!水曜日のカンパネラ新体制後初のアルバム『ネオン』が。

水曜日のカンパネラっていうのは元々はコムアイとケンモチヒデフミとの音楽ユニットで、音楽スタイルとしてはヒップホップとして括っていいと思うわ。
ちなみにケンモチヒデフミはあのNujabes主催のHydeout Productions出身だし!

そしてアイコン的存在だったボーカルのコムアイが昨年9月に脱退、そして新ボーカルとして20歳の詩羽(うたは)が加入したわけよ。

…これは本当に私の個人的に思ってる自論なんで話半分に聞いて欲しいんだけど、2015~16年ごろのフリースタイルダンジョンなんかのMCバトル番組から始まったラップブーム。そのラップブームの余波を一番受けてしまったのが水曜日のカンパネラなんじゃないか…?って思ってるのよ。

水カンの音楽性って言うのはヒップホップやダンスミュージックにコムアイのシュールで掴みどころのないファンタジックなテーマのラップが乗るわけよ。
初期の頃は鹿の解体パフォーマンスをやったりとか、コムアイの存在感からしてもサブカル色の強いグループだったわけ。
でも当時起きたラップブームっていうのが完全なバトルブーム、不良ブームだったじゃない?
「ラップっていうのは不良が即興でしかもめちゃくちゃ高いレベルで、自分の気持ちをラップにしてぶつけ合うものなんだ!」って世間の皆様が驚いたわけよ。
ラップ=不良。
そして音楽好きや音楽シーンが一気にラップを興味を持ち出し、様々なメディアやジャンルで注目され今日に至るわけよね。

で、当時インディーズで勢いに乗ってた水カンのメジャーデビューがちょうどこの時期と重なるわけなんだけど、やっぱり音楽シーンが興味を持ち出したヒップホップとは音楽性が異なると思うのよね。圧倒的に不良ラップ、リアル系ラップの方がウケてしまってラップ=不良=リアルみたいな時代が来てしまったのよ。
もちろん水カンは当時ヒップホップ界のニューカマーとして特集なんかもされてたけど、ヒップホップの扱いがまるっきり変わってしまったというか、ヒップホップを取り巻く音楽シーンの大きなゲームチェンジが起こってしまった!と当時私も思ったわけよ。

だからもしラップブームが来てなかったら、水カンはメジャーの世界でもうちょっとヒップホップジャンルの代表として扱われてた気がするのよ。
他にもあとCharisma.comとかね。狙いはすごくよかったと思うのよ。
ブームになりそうだったアイドルラップももうちょっと注目されてたと思うわ。

ブームの裏でこういった悲運もあるんじゃないかと思うわけ。
いや完全に勝手にだけど。

で、現在の話なんだけど新ボーカルの詩羽は普通に今時の若者っぽいというか瑞々しいというか、最近のアイドルにもいそうな感じで非常にいいわ!
音楽性は大きく変わってないけどボーカルが変わるだけでここまで聞こえ方も変わるものなのね~。

音楽シーンの中のヒップホップの扱われ方も更に変わって、今じゃすっかり浸透したというか音楽フェスには必ずラッパーが出てたりアイドルのアルバムにも人気ラッパーが曲を提供したり、アニメにも普通にヒップホップが使われラッパーが起用されたりするのがもう普通になったわよね。もう何が起きてもびっくりする事がなくなったわ。

ここまでラップが浸透した現代だからこそ、むしろ今こそ従来のラップから一歩捻った、シュールでファンタジックなラップの水曜日のカンパネラがウケるんじゃない…!?とか思っちゃうわけよ。

その第一歩として、とりあえず「招き猫」のアニメMVを作って「みんなのうた」で流して欲しいわ!(2022年5月配信リリース)

『ネオン』配信サイト
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服部昇大
服部昇大
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1982年、岡山県出身。2004年、『未来は俺等の手の中〜J.P. STYLE GRAFFITI〜』で、第67回手塚賞準入選。著書に『魔法の料理 かおすキッチン』全3巻、『ダークアクト』全1巻、『今日のテラフォーマーズはお休みです。』全6巻(全て集英社)。現在は「COMIC OGYAAA!!(コミックオギャー)」で『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』を連載中、単行本は1~7巻(ホーム社)が刊行中。2017年に6代目作画担当に就任した「日ペンの美子ちゃん」の公式Twitterに掲載された漫画の単行本『6代目 日ペンの美子ちゃん』(一迅社)も発売中。

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