美ー子ちゃんの今週の一枚
HONEST a.k.a. 湊『THE REAL ARIDA SHIT』

第55回 HONEST a.k.a. 湊『THE REAL ARIDA SHIT』

HONEST a.k.a. 湊『THE REAL ARIDA SHIT』いま日本語ラップ界隈の旬の話題はやっぱり「日本語の韻はUSのラップと比べると踏んでない!」っていうわかるようなわからないような、そう言われればそうだけどそうじゃないと言えばそうじゃないような…っていう絶妙な問題な気がするからとりあえず放っておくわ!

そんな事より我々的によっぽど重要なのは、やっぱり日本にも世界にもラップおよびヒップホップというアートを必要としている人間はまだまだ沢山いるって事だと思うのよ。例えば日本国内でラップが必要な人間の代表と言えば…やっぱり地方ラッパー達よね!
地方在住という不利な状況をアドバンテージに変える可能性のある唯一の音楽スタイル…それが地方をレペゼンする地方ラップなわけよ。
00年代頃にGAGLE、THA BLUE HERB、TOKONA-X、餓鬼レンジャー等様々な地方のラッパーが現れて日本全国にラッパーが増えたわけなんだけど、この地方ラッパーという概念は2020年代の現在ももちろん健在よ!

そして今回紹介するのは2023年にアルバム『THE REAL ARIDA SHIT』をリリースしたHONEST a.k.a. 湊!
ARIDAってタイトルにある通り…そう、和歌山県有田(ありだ)市のラッパーよ。
有田市っていうのは大阪から南に行った和歌山市の、更にちょっと南にある市よ。

和歌山県…有田…そしてこのオレンジ色を基調としたジャケットで関西の人や地理に詳しい人、果物関係者でピンと来てる人もいると思うんだけど…そう、和歌山県有田市と言えば「有田みかん」で有名な、とにかく「みかん」の町なのよ!!

みかん畑やみかんの選果場で有田みかんの事をラップする代表曲「ARIDAMIKAN」。
みかんの収穫に使うコンテナの事を歌った「CONTAINER」。
とにかく有田の生活や雰囲気を取り込んでる地元ソング(?)「A.R.D」、「有田Stand Up」。
日本の棚田百選に選定された有田市のシンボル的な棚田「あらぎ島」の事をラップする「ARAGIJIMA」。

このアルバム…めちゃくちゃ地元・有田市&有田みかんの曲が多いのよね!
地元レペゼン感がめちゃくちゃ強いわ。
でもこれって地方ラップの世界でわりと起こりがちで…というのは「地元にめちゃくちゃ有名な名物があると引っ張られがち」というの、結構あると思うのよ…!山梨県在住のstillichimiyaが初期の頃桃関係の曲が多かったように。
やっぱり地元レペゼンラップ界においてに地元の名物は避けられないわ!

ちなみにこのHONEST a.k.a. 湊、かなり若いラッパーみたいで21年リリースの「ARIDAMIKAN」のMV、めっちゃ若いわ。
出てくる仲間もなんかもう、悪そうっていう年齢にも達してなくて子供!って感じ。
曲も結構精力的にリリースしててこれからの成長が楽しみなラッパーだわ。(2023年6月配信リリース)

「美ー子ちゃんの今週の一枚」第55回

『THE REAL ARIDA SHIT』配信サイト
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服部昇大
服部昇大
XPIXIV FANBOX

1982年、岡山県出身。2004年、『未来は俺等の手の中〜J.P. STYLE GRAFFITI〜』で、第67回手塚賞準入選。著書に『魔法の料理 かおすキッチン』全3巻、『ダークアクト』全1巻、『今日のテラフォーマーズはお休みです。』全6巻(全て集英社)。現在は「COMIC OGYAAA!!(コミックオギャー)」で『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』を連載中、単行本はseason10まで刊行中(ホーム社)。2017年に6代目作画担当に就任した「日ペンの美子ちゃん」の公式Twitterに掲載された漫画の単行本『6代目 日ペンの美子ちゃん』(一迅社)も発売中。

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