東京・渋谷のHIPHOPクルー「LUCK-END」としてももう20年以上前から活動しているベテランラッパー、十影（とかげ）。
シーンでも屈指のリアル系おもしろラッパーとしてかなり独自の立ち位置を確立してると思うんだけど、特に近年のリリース曲もすごいのよね。
まずシーンで話題になったのが2017年リリースの曲「ラッパー、家を買う」。
ラッパーが35年ローンで家を買ったことを曲にするというまさかのテーマで「できれば都内に3LDK 土地 駐車場付き 内覧重ねる土日 出会えたお前に感じた奇跡」っていう不動産屋の内見をまるでコテコテのラブソングのように言ってるっていう、同世代のマイホーム購入系男子なら感情移入せざるを得ない曲だと思うわ。
他にも2022年リリースの、おそらく自身がハゲてきた事を発端に有名ラッパー達の名を挙げて「禿げろ禿げろ」と唱え続ける曲「禿げろ」。
そして最新リリース曲が自身が離婚しシングルファザーとなった事を曲にした「シングルファザー」。
リアルを曲にするのがラッパーって言うけどここまで中年男性の人生のリアルネスをわざわざ曲にしていくラッパーも少ないと思うのよね。
人生っていうのは家もローンで買うし、ハゲるし、離婚もするって事なのよ。
そんな十影なんだけど2023年4月リリースされた話題曲がFrankenとの曲「保育園神」よ！
実際はほとんどないのに何故か感謝ソングと揶揄されつづけてきた日本語ラップだけど、ついに感謝ソングは保育園への感謝まで来たわ。
クソな政治家に金払うなら保育士の給料上げてくれや 神は信じねえけど保育園は神 いつも感じるありがたみ／十影
仕事やりながら育児ラップ する暇ない もうラップ出来ないタップするしかないと思ってた時もあったが保育園に助けられた 朝の9時から4時、時間が空いた／Franken
保育園神 保育園神 保育園神 子に植える愛
これもまた人生のリアルネスよね。
翌月に出た「保育園神」も収録のEP『トカちゃんケンちゃん』では他にも今のSNS時代、バズ時代の新たな問題提起とも言える切ない曲「知名度あんのに金稼げない」もあったりして、これからもどんどん同世代を生きる我々のリアルを音楽で追求して、ついでに稼げる方向も模索し続けて欲しいわ！（2023年5月配信リリース『トカちゃんケンちゃん』収録曲）
『トカちゃんケンちゃん』配信サイト
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（X／PIXIV FANBOX）
1982年、岡山県出身。2004年、『未来は俺等の手の中〜J.P. STYLE GRAFFITI〜』で、第67回手塚賞準入選。著書に『魔法の料理 かおすキッチン』全3巻、『ダークアクト』全1巻、『今日のテラフォーマーズはお休みです。』全6巻（全て集英社）。現在は「COMIC OGYAAA!!（コミックオギャー）」で『邦画プレゼン女子高生 邦キチ！ 映子さん』を連載中、単行本はseason10まで刊行中（ホーム社）。2017年に6代目作画担当に就任した「日ペンの美子ちゃん」の公式Twitterに掲載された漫画の単行本『6代目 日ペンの美子ちゃん』（一迅社）も発売中。
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