美ー子ちゃんの今週の一枚

第51回 舐達麻「FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD」

舐達麻(prod. GREEN ASSASSIN DOLLAR & 7SEEDS)「FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD」私はてっきり出さない物だとおもってたけど出してきたわね…DIS曲!

舐達麻の新曲、タイトルからズバリの「FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD」!
DIS曲にも種類があって、曲の中の一部分で相手をディスるフレーズや相手のリリックを引用したりして小馬鹿にするパターンとかもあるんだけど、これは頭からケツまで徹頭徹尾ディスりまくる…まごう事なきDIS曲中のDIS曲になってるわ。あとラッパーが3人いたら1人が強烈にディスってるけど他の2人はそうでもないって曲も結構あるんだけど、この曲では見事に3人ともBAD HOPをディスってるわ…!
まさに全面ビーフ。やってくれるわ舐達麻…。
しかも「お前がVERBALで俺がSEEDA」なんてTERIYAKI BEEFを引用するリリックもあったり、そんなにも日本語ラップが好きだったのねバダサイ…!
今回まったく関係ないし「ダサい」象徴とされてしまってるVERBALはたまったもんじゃないでしょうけど。

解散を控えてておそらくそれどころじゃないであろうBAD HOPからは今の所アンサー曲はないわけなんだけど、とにかくこの曲はYouTubeでも1か月で800万再生、新曲として配信でもリリースされてかなりの話題曲となってるわ。

しかしこの「FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD」…何よりすごいのが辛辣なディス曲でありながら舐達麻の曲としてのクオリティも両立させてるって事だと思うのよね!
私の知り合いなんてディス曲だって知らずに普通に舐達麻の新曲だと思って聞いてたわ。そういうレベル。

特に凄いのはやっぱり舐達麻のリリックよね。
彼らの後に同じGREEN ASSASSIN DOLLAR & 7SEEDSのこのトラックを使って「I guess I'm beefin'」ってディス曲をリリースしたジャパニーズマゲニーズだとバースの出だしは「あいつらなめとんなぁ おちょくってる態度腹立つ…」っていう何ともディス曲らしさ全開のディス曲なんだけど。
それに対してバダサイの1バース目は「お前の曲はパクリで 俺のはREQUIEM Northern Blueが覆った心の雲が灰色のまま 晴れる事なく 追悼と狼煙の意で燻ぶった煙も相まって 目の前すら見えない土砂降りの最中」っていう…ディスってるけどめちゃくちゃ詩的!!っていう。リリシズム!
しかも1行目がもうこの曲を代表するパンチラインになってるのがやばいわよね。

つまり何が言いたいのかというと、この何でもかんでもハイクオリティな時代、ディス曲もここまでハイクオリティになってるって事なのよ!
ディス曲でもありながらシングルとしても通用するレベルの作品でもあるっていう。
この曲がこの先のディス曲で求められるレベルを一段上げてしまった感すらあるわ…。

あ、あとビーフの経緯を見る限り怒ってるのはバダサイだけなのかと思ってたけど全然2人も言ってるし、特にDELTA9KIDのディスの的確さというか最初から最後までずっと歯に衣着せぬリリックにはびびったわね!(2023年12月配信リリース)

「FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD」配信サイト
AmazonAppleSpotify

服部昇大
服部昇大
XPIXIV FANBOX

1982年、岡山県出身。2004年、『未来は俺等の手の中〜J.P. STYLE GRAFFITI〜』で、第67回手塚賞準入選。著書に『魔法の料理 かおすキッチン』全3巻、『ダークアクト』全1巻、『今日のテラフォーマーズはお休みです。』全6巻(全て集英社)。現在は「COMIC OGYAAA!!(コミックオギャー)」で『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』を連載中、単行本はseason10まで刊行中(ホーム社)。2017年に6代目作画担当に就任した「日ペンの美子ちゃん」の公式Twitterに掲載された漫画の単行本『6代目 日ペンの美子ちゃん』(一迅社)も発売中。

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