美ー子ちゃんの今週の一枚
KANDYTOWN『LAST ALBUM』

第48回 KANDYTOWN『LAST ALBUM』

KANDYTOWN『LAST ALBUM』ついに東京新世代HIPHOPの雄、KANDYTOWNが解散してしまったわ…!
最近有名なインフルエンサーのレペゼンなんとかの発言の影響(?)で「HIPHOPかHIPHOPじゃないか論争」みたいな論争が度々巻き起こってTwitterでもトレンドに上がってて。
なんだかその騒動すらもまんまとインフルエンサーの掌の上って感じがして全く話に参加しようっていう気にはならないんだけど、HIPHOPなモノとHIPHOPじゃないモノの境目は明らかに存在するし、そのインフルエンサーがどうだかは知らないけど絶対的に確実にHIPHOPな存在だったのが、このKANDYTOWNなわけよね。
やっぱりKANDYTOWNみたいに「何がクールか」「何がカッコいいか」そして「我々はどう生きるべきなのか」を教えてくれるのがHIPHOPだと思うわけよ~。いつの時代でも。

2022年10月に解散を発表してから11月30日に最後のアルバム『LAST ALBUM』をリリース、そして3月の武道館ライブで解散しちゃったわけだけど…でも逆に気付いたけど、日本のヒップホップグループで彼らみたいにはっきりと「解散」って言って解散したグループって結構少ないわよね…。ほとんどは活動休止か、だんだんと活動が少なくなっていって客観的に見ても事実上の活動休止みたいな。
で、十年後とかにひょっこり活動再開したり。あるいは人数は結構減ったけどそのまま活動してるグループとかも多いわよね。そういう緩さというかラフさもHOPHOPの魅力だと思うわ。
でも、のちのち復活も出来る「活動休止」じゃなくてはっきりと「解散!」って解散ライブをやって解散する潔さというか、ちょっとお客を突き放したような真剣さはヒップホップというより私達世代で言うとかつてのロックバンド、例えばTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTやBLANKEY JET CITYを彷彿とさせるわ。カリスマ的っていうか。
誰でも好きな事を発信できるネットやSNSによってHIPHOPへの理解がどんどん遠ざかっているこの時代に、本当にKANDYTOWNの解散は惜しいわ…!

そしてラストアルバムのそのままズバリなタイトル『LAST ALBUM』 。もちろんすごい作品よ。
特にリード曲の「Curtain Call」。あのTHE FIRST TAKEでも披露したりまさかの「スッキリ」でもライブしてた曲よ。

何にもなかったわけじゃねぇんだぜ でもよ あんまり喋らないだろJust do yo thing

明日も最後のように生きるのさ 音の上 メモリーレーンにはKANDYTOWN 4 LIFE

などなど、KEIJUとRyohuの印象的なラインが満載な上に、トドメとしてIOの

はじめたものを片付けに来たのさ 大抵のやつらはちらかしっぱなしさ

という、まさに「何で解散するの?」という疑問に対しての超カッコいい、そしてわかるようでわからない、わからないようでわかる最高のパンチラインで回答してるわけよね。この感覚。このクールさ。これぞHIPHOPよ!(2022年11月発売)

美ー子ちゃんの今週の一枚」第48回

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服部昇大
服部昇大
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1982年、岡山県出身。2004年、『未来は俺等の手の中〜J.P. STYLE GRAFFITI〜』で、第67回手塚賞準入選。著書に『魔法の料理 かおすキッチン』全3巻、『ダークアクト』全1巻、『今日のテラフォーマーズはお休みです。』全6巻(全て集英社)。現在は「COMIC OGYAAA!!(コミックオギャー)」で『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』を連載中、単行本はseason10まで刊行中(ホーム社)。2017年に6代目作画担当に就任した「日ペンの美子ちゃん」の公式Twitterに掲載された漫画の単行本『6代目 日ペンの美子ちゃん』(一迅社)も発売中。

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