ご挨拶とご説明

ことさら出版は、本やCDの小規模出版を行うレーベルです。

2018年12月24日に、遠い街(butaji+スズキナオ)のCD『膝』をリリースし、サイトをオープンしました。

レーベルの名前は、「ただ生きるだけなら、ことさら必要ではないもの」をつくりたい、といういう考えから名づけたものです。

これは、無意味なものをつくりたい、という意味ではありません(余裕があれば制作してみたい思いもありますが)。

むしろ、「ただ生きる」ことの難易度が下がり、人類に余裕・余暇が生まれたために表現や芸術が生まれたと考え、数え切れないほどの「ことさら必要ではないもの」が生み出されるまでに至ったことに対する感謝と、むしろ、現代を生きる私たちにとっては、それこそが本当に大切なものではないか、という認識があります。

また、なんとはなしに――ですが、私には今後社会が、そのようなものが生まれにくくなる、人類が長い年月をかけて獲得してきた豊穣たる余白が、少しずつ奪われていく方向に向かいつつあるのではないか……というぼんやりとした不安もあります。このレーベルは、その不安に対するささやかな抵抗のつもりです。

現在商品は『膝』のみで、素人が一人で作ったサイトも寂しい限りですが、今後少しずつ、商品とサイトの中身を「ことさら必要ではないもの」で充実させていきたいと思っております。

2019年1月10日には、「ことさらマガジン」という読み物のページをオープンしました。一つ目の連載は、遠い街でもお世話になっているスズキナオさんによるものです。ことさらマガジンの連載も、少しずつ増やしていければと思っております。また、全ての連載がその前提というわけではありませんが、連載をことさら出版で書籍化する、という流れも考えております。

ぼんやりとした未来への不安と同時に、AIによって多くの人間が働く必要がなくなり、ワーカホリックを除けば、最高にハッピーな未来が来るかも……と考えたりもするのですが、杞憂に終わるようならそれが何よりですし、そんなハッピー杞憂エンドの訪れた時代でも親しんでいただける作品を、少しずつ増やしていければと思っております。

ことさら出版